19May
コロナと非日常
コロナウイルスが日常を非日常に変えてしまったと多くの方が感じておられることでしょう。家の中ばかり居て、心身にストレスが溜まってしまったと、なげいている方も多いものと思います。それよりも何よりも、コロナ禍に対する漠とした不安が一番のストレスかも知れません。先の見通せない不透明感が、気持ちを滅入らせているとも言えるでしょう。
しかし、考えてみたら、私たちの生活は、自然の変化の中にあって、自然の移り変わりに大きく左右されるものです。自然を克服しようと作り上げた都市や社会も、一人の個人の思いや行動だけでは簡単には動かないシステムです。それまで日常だと思っていたことが、実は常ではなく、日々のたゆまない努力でやっと持ちこたえていたものだということに気づかされます。その日々の努力への評価を忘れていたり、日々の繰り返しはマンネリと思い込んでいたことへの反省しきりです。振り返ってみると、日常を維持することは、ものすごく大きなエネルギーが必要で、実は、努力のつらさの忘却と繰り返しに慣れることで、何とか成り立っていた「日常」なのだと、改めて気づかされたような分けです。
皆様の体調が心配ですが、このコロナ禍のさなかに、お一人お一人が体と心に向き合う良い機会を得、むしろ、それまでよりも良い健康状態にあるであろうことを期待しています。また、自分の心身だけでなく、自然や社会や友人にも思いを馳せてみる機会にできると、それが、自分へ向き合う際のヒントにもなるものと思います。非日常を引き起こしたコロナ禍も、皆さんの人生の途上で出会った日常の一コマだったと、いつか振り返られる日が来ることを願っています。
洞峰パーク鍼灸院 院長 形井秀一